長野家庭裁判所 事件番号不詳 決定
主文
本人を引続き昭和三十二年十一月二十五日迄中等少年院(M寮)にその収容を継続する。
理由
本件申請の理由は
本人は昭和三十年十一月二十五日長野家庭裁判所において(中等)少年院送致の決定により同年十一月二十六日M寮に収容され、昭和三十一年五月十五日をもつて成人に達したので、少年院法第十一条第一項但書の規定により収容を継続し、現在教育中のもので、成績向上も見るべきものがあるので、この際出院させる事が良いと考えられるが同年十一月二十五日の満期をもつて直ちに退院となし、手放しに楽観する事は本人の過去の経歴及び保護者の引受態度及び能力等よりして聊か憂慮される点があるので、一定期間収容継続をなして尚一層の矯正教育を行い、適当な時期に仮退院となしその後は保護観察として本人を善導するのが保護処分の所期の目的を達するものと思料されるので少年院法第十一条第二項により申請する。
と謂うにある。
本人は上叙の様に昭和三十年十一月二十五日当裁判所において中等少年院に送致する旨の決定を受けて翌二十六日M寮に収容され、現在迄同寮において矯正教育を実施されてきているものであるが、本人担当の同寮分類保護課長の言並びに本人の供述等に徴すれば、本人は昭和三十一年七月一日一級上の階級に進級し、同年九月十日同寮長より関東地方更生保護委員会に対して本人の仮退院申請の手続をなすに至つたが、本人の保護者等には本人を引受けて指導せんとする意向すら現段階においては全然なく、従つて既に間近き本退院を俟つのみでは本人の将来に対する善導援護につき万全の措置をとり得ない事が看取される。
本人自らは出寮後クリーニング店等に店員として住込み稼働したき旨述べてはいるが、直ちに本人が希望する適職が得られるか否かが疑問であり、尚それ以上に本人が今後帰住する場所にも迷う様な実状にある為勢い更生保護会等の施設を確保しなければならず(この点については同寮の教官及び前橋保護観察所の御尽力により一応群馬更生保護会への入会が予定せられている由であるが)、亦少くともこれが環境の調整改善についても相当の日数を要する処からして、上叙の如き保護者等の態度からしても本人の自力のみによる更生に早急に全幅の期待を寄せる事は相当に困難な実情にあるものと謂わなければならない。
而して本人については既に在寮中のM寮長より当該委員会に対して仮退院の申請がなされている点に鑑みる時は本人の在寮中の成績態度等から推して早晩これが許可あるものと考えられる処であり、而も本件申請については本人においても異議がない旨を述べている点からしても、早急に仮退院の許可ある事を期待し、爾余の保護観察に付せられるべき期間につき相当程度長期に亘つて(特に環境の調整改善を企図する為)これが強力な実施を必要とせられるものと考量されるので、かかる観点からしてこれが期間としては一年間を相当と認め、現に同寮に収容された日より向う一年間の期間たる昭和三十二年十一月二十五日迄本人を引続き中等少年院(たる同寮)にその収容を継続せしむることとし、少年院法第十一条第三項及び第四項に則り主文の通り決定する。
(裁判官 柳原嘉藤)